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異業種連携経営戦略

業種業界を越えて連携するビジネスエコシステムへの挑戦
日本ユニシスが見つめるAPIエコノミーの世界

2017年8月7日

ICTの普及はビジネスや生活スタイルを刷新し、業界の常識や垣根を破壊する破壊的ビジネスモデルを台頭させた。従来の価値観からの転換が求められる中で、企業が生き残っていくには何が必要になるのか。そのカギとなるのが業界を越えた連携、ビジネスエコシステムである。その実現のためのアプローチと成立するための必要条件を考えてみたい。

260兆円と言われる市場に
どう参加すればよいのか

日本ユニシス株式会社
執行役員
プラットフォームサービス本部長
須貝達也

ICTによる業界の常識や垣根を破壊する創造的破壊者の登場はこれまでの常識を覆しつつある。企業が今後生き残っていくためには何が必要になるのか。日本ユニシスの執行役員 プラットフォームサービス本部長、須貝達也は「ビジネス機会を予見する先見性や洞察力、そして自社ビジネスを再定義して新たなビジネス機会に対応すること」だと説く。

新たなビジネス機会に対応するための手段として注目されているのが、ビジネスエコシステムという考え方だ。社会課題を解決するための業種を越えた連携と定義することができる。

須貝は、「このビジネスエコシステムの実現には条件があります。それは有力なプラットフォームの存在です」と指摘する。ソーシャル系ではFacebookやTwitter、シェア系ではPinterestやYouTube、コンテンツ系ではKindleやHuluなどが代表格だ。須貝はその原動力として“ネットワーク外部性”を挙げる。

図1 ビジネスエコシステム実現の条件出典:日本ユニシス

「SNSでは利用者が増えるほどサービスの質や利便性が向上し、利用者が感じる価値が高まります。このように同じ財やサービスを消費する個人が増えるほど、そこから得られる便益が増えることがネットワークの外部性です。関係する双方にメリットをもたらし、集客力の強さに価値があります」(須貝)

日本ユニシスが手がけてきたバリューカード事業でも同様のことが言える。保有者が増えて加盟店が増えればそれだけ便利になる。扱うカードの種類が増えれば、集客力も強くなる。

このプラットフォームを構築するために効果的なのが、アプリケーション同士をつなぐAPIの存在だ。WebのAPIを介してアプリケーションを複数組み合わせることで、新たなアプリケーション(サービス)を作り出すことができる。また、自社のアプリケーション(サービス)をAPIで公開することで、自社のアプリケーション(サービス)利用を増加させることができる。それが「APIエコノミー」である。UberやAirbnbなど“創造的破壊者”は、APIエコノミーを活用し素早くビジネスを展開している。その市場規模は260兆円ともいわれる。

しかし、グローバルで見ると日本のAPIの活用はやや後れを取っている感がある。須貝はその理由として、「競合他社との差別化に効果があるという認識が低いこと」「SOA(サービス指向アーキテクチャ)の普及が進まなかったこと」の2点を挙げる。

ビジネス上の価値が認められなければ、本気で取り組もうとはしないし、SOA化していないことでシステムの機能を切り出すことが難しければハードルが高くなる。この2つの相乗効果でAPIに対して腰が引けている状態に陥っている状況なのである。

しかし、世界のビジネスは今、APIで大きく変わりつつある。日本にもその波はやってきている。待ったなしの状況だ。そこで成功するには、どうしたらよいのか。須貝は「迅速にAPIを開発すること」「効率的でセキュアなAPIを開発すること」そして「ビジネス上の価値を見いだすこと」の3つを条件に上げる。

2つのプラットフォームで
ビジネスエコシステムを支える

ビジネスエコシステムの実現に対して日本ユニシスはどんな価値を提供できるのか。須貝は「ワンストップ」「カタリスト」「リユース」の3つを挙げる。必要とされる新たなICTをワンストップで提供できること、そして参加企業をつなぐ触媒、カタリストとして活動できること、これまで培ってきた業種業界の知見をリユースできることだ。

同社ではこの3つの価値を具現化する別々の機能を持った2つのプラットフォームを備えている。「サービスビジネスプラットフォーム」と「APIプラットフォーム」である。

図2 ビジネスエコシステムを支えるプラットフォーム出典:日本ユニシス

サービスビジネスプラットフォームでは、サービスに必要な開発と運用環境をワンストップで提供し、カタリストとしてクラウドベンダーやソフトウェアパートナー、OSSをつなぎ、同社が培ってきたサービスビジネスのノウハウをリユースして提供する。

APIプラットフォームでは、APIを利用/公開する機能をワンストップで提供し、自社とパートナーの持つアプリケーションをAPIによってリユースすることでビジネスとビジネスをつなぐカタリストとして機能する。

「APIを公開するメリットはいくつも挙げられます。既存のIT資産から収益を上げることができますし、オープンイノベーションを促し、自社にはないアイデアを取り込むこともできます。APIを利用する側としては、FinTechのように新たなイノベーションを創造できたり、俊敏にビジネスを立ち上げたりすることができます」と須貝はその可能性の大きさを強調する。

いいことずくめに見えるAPIエコノミーだが、APIを公開してその世界に加わるにはAPIの利用を促進するとともに、セキュリティを確保する必要がある。また、APIを利用する場合には利用料の支払いや利用実績の管理などの高い業務負荷を負う必要もある。それをまとめて請け負うのがAPIプラットフォームの役割である。

すでに日本ユニシスでは、位置情報サービスと移動販売システムをAPIによって結びつけたり、勘定系システムのAPIを公開できるサービスを提供したりしている。また、知的エージェントサービスやIoTプラットフォームのAPI化も進めており、APIエコノミーの世界に乗り出している。

日本ユニシスでは引き続き、多くの業種・業界のお客様とともに産業を支えてきたアプリケーションをAPIによってリユースすることでワンストップのプラットフォーム技術を備え、新たな刺激を生むカタリストとしてビジネスエコシステムの推進に力を入れていく構えだ。