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AI(人工知能)書評

私の本棚
第1回テーマ:AI(人工知能)

2016年10月11日

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日本ユニシスグループの社員がおすすめする書籍をテーマ別に紹介するコーナー。初心者必読の本から上級者向けの本、推薦者の「座右の書」などをコメントと共にご紹介します。今回のテーマは「AI(人工知能)」。価値ある一冊に巡り合う一助となれば幸いです。

今回の推薦者

日本ユニシス総合技術研究所
所長
羽田 昭裕

パターン認識と機械学習(上、下) ベイズ理論による統計的予測

パターン認識と機械学習(上)パターン認識と機械学習(下)

近年、工学や知識処理への応用で人工知能と呼ばれているものの幹となっているのがパターン認識と機械学習である。実務的にいえば、この本を読み終えて機械学習の初心者になったといえる書である。パターン認識と機械学習の両分野の手法を広くカバーしているため、これらの領域に関心を持つ方は、「序論」をきちんと読めば、その全体像について見通しが得られるだろう。ただし、本論を読み通すには、多変数微分積分や基礎的な線形代数についての知識が必要となる。

[著]C.M.ビショップ
[監訳]元田浩、栗田多喜夫、樋口知之、松本裕治、村田昇
[出版社]丸善出版
[発行年月]2007年12月/2008年7月

意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

人工知能を外側から考える本。現在の人工知能を「哲学的ゾンビ」になぞらえて、「デジタルゾンビ」と呼んでいる。「哲学的ゾンビ」とは、人間と見分けがつかないが、唯一異なるのは意識を持たない、そのような生き物である。では、意識は存在するのであろうか、存在するとすれば、意識があることとないことはどのように違うのか、それは脳とどう関係するのか――などについて、哲学的議論ではなく、自然科学的な基礎を追究した書。内容は深遠だが、専門的な知識はまったく必要ないように丁寧に書かれている。

[著]マルチェッロ・マッスィミーニ/ジュリオ・トノーニ
[訳]花本知子
[出版社]亜紀書房
[発行年月]2015年5月

心の社会

心の社会

座右の書。「人工知能」という言葉を生み出したダートマス会議の主導者の1人、マーヴィン・ミンスキーの書。「心は機械である、しかしそれはどういう種類の機械なのか」を問題としている。「少なくともその機械は論理的でないし、10億以上の部品から成る機械を理解する概念を考えることは始まったばかりだ」などを出発点に専門的な言葉に頼らず思考を進める。ラ・ロシュフコーの『箴言集』のように、人工知能に関する研究が新しい段階に進むたびに読み返し、問題意識の鮮明さ、深さに驚きを覚える。

[著]マーヴィン・ミンスキー
[訳]安西祐一郎
[出版社]産業図書
[発行年月]1990年7月

人工知能とは

人工知能とは

日本を代表する歴代の人工知能研究者の考えを知ることができる書。「人工知能とは何か」「知識の実現には何が必要か」「コンピュータは考えられるのか」「意識とは何か」「知能とは何か」などの問いに気鋭の研究者たちが答えていき、その発想の根拠や関連する文献についてのナビゲートもしっかりしており、人工知能についての辞書としても利用できる。専門的な知識や思考が、非専門家にも伝わるように語られる明瞭で丁寧な文章が素晴らしい。

[編著]松尾豊
[監修]人工知能学会
[出版社]近代科学社
[発行年月]2016年5月

コンピュータが仕事を奪う

コンピュータが仕事を奪う

人工知能が及ぼす社会的な影響についての書。世界的には、エリック・ブリニョルフソンの『機械との競争』(日経BP社)が耳目を集めるきっかけとなった。彼がこのテーマに取り組み始めたのは2011年春と語っているのに対し、本書の発刊はそれ以前の2010年であり、昨今の論説にはない独自の論考が楽しめる。新井教授は、人工知能では代替が極めて難しい、人間に残される領域としての「深く正確な読解力」を問う理論とツールをテーマに、新たな研究を進めていることでも知られる。その原点を知りたいという読者にも楽しめるだろう。

[著]新井紀子
[出版社]日本経済新聞出版社
[発行年月]2010年12月

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