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書評金融

私の本棚
第4回テーマ:金融・ファイナンス

2017年3月7日

日本ユニシスグループの社員がお薦めする書籍をテーマ別に紹介するコーナー。専門的知識が不要なものから上級者向けの本、推薦者の「座右の書」といった数冊を取り上げます。今回のテーマは「金融・ファイナンス」。価値ある一冊に巡り合う一助となれば幸いです。

今回の推薦者

日本ユニシス
ファイナンシャル第三事業部ビジネスクリエーション統括部
統括部長
三澤聰司

「お金と心理」の正体 マーケティングの極意は「金融」にあり

「お金と心理」の正体 マーケティングの極意は「金融」にあり

「銀行を中心とする金融分野のマーケティング」についてまとめた本書では、広告代理店(アサツー ディ・ケイ)の著者チームが、250社を超えるクライアントとのビジネス経験をベースに、「人を動かす8つのツボ」「心理を捉える金融マーケティングの手法」などのテーマごとに分かりやすい解説を加えている。その論には、私自身も、自らのクライアントでもある銀行のさらに先にいる消費者の心理、彼らと銀行との接点、そしてそれを支えるICTのあり方などについて改めて啓発された。金融分野でビジネスの幅を広げたり、発想の転換を図ったりしたいと考えておられる方には、まさにお薦めの一冊だ。単なる事例紹介にとどまらず、(金融)ビジネスでイノベーションを生み出すのに欠かせないとされる「デザイン思考」「UX(ユーザーエクスペリエンス)」「FinTech(ICTを活用した革新的金融サービスを指す造語)」「X-Tech(洗練されたICTをコアに、全産業において、今までにない価値や仕組みを提供する動向)」などの概念と結び付けて論を掘り下げたところに、価値の高いビジネスを創造するためのヒントが隠されている。

[著]ADK金融カテゴリーチーム
[出版社]経済界
[発行年月]2014年9月

捨てられる銀行

捨てられる銀行

本書の眼目は、銀行業界が現在置かれている状況と課題を的確に分析しつつ、金融庁が何を目指し、どのように銀行に転換を促そうとしているかを明白にしているところにある。銀行の中でも特に地域金融機関は、営業地域における人口減少や経済衰退の波にさらされ、従来のビジネスモデルでは存続すら怪しくなる苦境に追い込まれている。こうした状況下においては、地域の顧客とのコミットメントをいかに強固にし、地域経済の活性化を図るかが問われる。本書も、このままでは銀行の業務はAI(人工知能)などのテクノロジーに代替されてしまう恐れがある、と厳しく指摘する。だが、もちろん希望がないわけではない。ビジネスモデルの転換を成功させつつあるケーススタディーとして取り上げられている石川県の「北國銀行」(ちなみに、日本ユニシスの顧客でもある)の例に、地域金融機関がこれから目指すべき姿を見いだして期待とやる気を奮い立たせるのは、決して私だけではあるまい。

[編]橋本卓典
[出版社]講談社
[発行年月]2016年5月

お父さんが教える 13歳からの金融入門

お父さんが教える 13歳からの金融入門

日米における「FinTech」実践企業数やイノベーションの質の違いについて考えるとき、そこにはどうしても「日本の金融リテラシーは低く、米国のそれは高い」という思い込みがついて回る。だが本書は、この分野での「日米格差」はそれほど大きくなく、米国においても若年層における金融リテラシーが大きな課題になっていることを教えてくれる。本書は著者のビアンキ氏が、13歳になるご子息のトレント君に金融の基本を教えるために作成した教材のかたちをとっており、これまでまったく金融に縁がなかった方の入門書としてはもちろん、自分では金融を理解しているつもりでいても体系立てて学んだことがなかった方の虎の巻としてもふさわしいテキストであるといえる。子供向けであることが、逆に本質を突いた解説を引き出しているからである。序盤の「貨幣、支払い方法」に始まり、中盤の「オプション」、後半の「投資・企業分析」まで読み終わるころには、「金融リテラシー」がしっかり身についていること請け合いだ。

[著]デヴィッド・ビアンキ
[訳]関美和
[出版社]日本経済新聞出版社
[発行年月]2016年7月