close

AI(人工知能)IoT

変革の時代を勝ち抜くために知るべき
デジタルテクノロジーの近未来
調査研究が示す成功要因とは

2016年9月13日

日本ユニシスグループでは、顧客に提供していくべきICTの方向性を示すため、2009年より毎年「Technology Foresight®」を提示している。これは、マーケットやビジネス、テクノロジーの最新動向に関する調査研究を基に数年先の未来像を予想したものだ。その最新版である「Technology Foresight 2016」から要点を紹介する。

デジタルテクノロジーが
ビジネスの成否を左右する

「クラウド」の概念が世に示されたのは2009年頃のことだ。その後、クラウドを土台とした「ビッグデータ」「モバイル」「ソーシャル」といった様々なデジタルテクノロジーが相次いでビジネスの世界に浸透し、経営戦略さらには企業の在り方そのものを変革させている。今やデジタルテクノロジーは、ビジネスの成否を左右する最大の要因となっているといっても過言ではない。

ただ、デジタルテクノロジーは変化が激しいだけに、これをうまく活用して自社の差異化や競争優位性としていくためには、常に“先見の明”が求められる。そこでぜひ参考にしたいのが、日本ユニシスグループが提示している「Technology Foresight」だ。マーケットやビジネス、テクノロジーの最新動向に関する同社の調査研究を基に策定された、数年先を見据えたデジタルテクノロジー活用の未来像である。

特に注目すべきはAIと
スマート・マシンの動向

Technology Foresightの調査研究対象は多方面に広がっているが、その中からまず注目すべきは「全てのビジネスにAI(人工知能)」という未来像だ。日本ユニシス執行役員の佐藤和雄は、次のように説明する。「3~5年後、AIは特定のシステムだけでなく、より身近で広範なシステムで使われるようになります。AIをいかに活用できるかの優劣が、サービスやビジネスに大きな格差をもたらすようになると予想されます」。

例えば、大量の専門知識が要求される医療や法律、会計などの分野では、最新の論文や事例、判例などを早急に吸収していく必要があるが、限られた人間でその全てを把握するのは不可能な状況にあった。そこにAIを活用すれば必要な情報にアクセスするハードルが下げられ、最新情報に基づいた、より適切な判断を下せるようになる。

一般企業においても、SNSやメール、各種ログデータを情報源としてコンプライアンス違反を早期検知するといった取り組みにAIが利用され始めている。これまで継承が難しいとされていた属人的ノウハウや匠(たくみ)の技のようなものについても、画像認識や音声認識などの技術と組み合わせることで、AIに学ばせる試みがなされている。

ただし、現時点では森羅万象を理解した万能なAIが登場しているわけではない。「適切なAIを選択し、状況に応じて使いこなせるスキルを育成することが、今後の企業にとって重要な成功要因となります」と佐藤は示唆する。

もう一つ注目しておきたい未来像は、「スマート・マシンによる産業構造の変革の始まり」だ。スマート・マシンとはロボットや自動運転車、ドローン、スマート・アドバイザーなど、自らが“判断能力”を持ち、人間の活動を高水準に代替する装置を指す。スマート・マシンは大量のセンサーによって成り立っているため、IoTの一部としても捉えることができ、グローバル製造業を中心としたインダストリー4.0やインダストリアル・インターネットなどの動きともリンクしていくと考えられる。

こうした産業構造に変革に加えて、同社がTechnology Foresightの中で言及しているのが、「スマート・マシンによる自動化がもたらす雇用の再配置」だ。かつての産業革命は、蒸気機関や電力によって人間の肉体労働を機械に置き換えた。「同じように、会計士や弁理士、税務処理、受付、銀行窓口などのホワイトカラーの仕事も、次第に人間からスマート・マシンに移っていくでしょう」と、佐藤は予測を示す。

スマート・マシンの進化により雇用の再配置が始まる

出典:日本ユニシス

もっとも、人間の仕事が次々に機械に奪われていくわけではない。「スマート・マシンによる自動化の先にこそ新たな職種が誕生します。また、創造力が求められる仕事もAIやスマート・マシンにはまだ対応できず、人間が担っていく役割がなくなるわけではありません」と佐藤は強調する。

IT駆動型ビジネスを拡大し
自社の価値を極大化する

そして、AIやスマート・マシンなどの新たなデジタルテクノロジーを基盤として加速していくとみられるのが「IT駆動型ビジネスの拡大」だ。

佐藤は、「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌に発表された「(1)アセット・ビルダー」「(2)サービス・プロバイダー」「(3)テック・クリエイター」「(4)ネットワーク・オーケストレーター」の4つのビジネスモデルを例に挙げ、次のように語る。

「(1)から(4)に進化するにつれて、企業価値は倍々ゲームのように増えていきます。アセット・ビルダーの段階の企業に対して、ネットワーク・オーケストレーターはその8倍以上の価値を持つことができるのです」

IT駆動型ビジネスの「4つのビジネスモデル」

出典:日本ユニシス ※「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌の資料を基に作成

ネットワーク・オーケストレーターの代表格として知られるのは、自社で自動車を1台も保有することなく世界最大のタクシー会社となったUber、自社で不動産を持つことなく世界最大のホテル業となったAirbnbなどだ。自社で資産を持たない彼らが、大規模な資産を保有する伝統的な企業を追い落とし、株式の時価総額でも上回るという“下克上”を起こしている状況を目の当たりにすれば、佐藤の言葉にもうなずける。

では、どうすればネットワーク・オーケストレーターへの進化、すなわちデジタルビジネスへの変革を成し遂げることができるだろうか。まず重要なのがデータの収集だ。

「新しい価値を生み出すために、現時点で自分たちが持っているデータに対して、どんな新しいデータを組み合わせる必要があるのか。また、そのデータはリアル店舗や他社など、どこから入手することができるのか。足元のデータを見直すことからスタートする必要があります」と佐藤は説く。

日本ユニシスの取り組み

出典:日本ユニシス

同社としても中期経営計画の下、「Technology(高生産性・サービス型ビジネスを支える開発技術、マルチパートナー・マルチサービス対応)」「Business(収益性の高い戦略的な案件で、顧客と対話しながらビジネスを推進)」「Management(従来型とチーム型の双方に対応したハイブリッド型マネジメント)」の3つのケーパビリティーをさらに強化していく考えだ。「お客様がデジタルテクノロジーを取り巻く環境変化に柔軟に対応できるよう、ユニシス自身が率先して変化し、支援する体制を整えていきます」と佐藤は日本ユニシスの強い意向を示した。