close

イノベーション論説

ビジネスエコシスムが求められる時代
ICTベンダーの役割も変わる
ビジネスエコシステムの新潮流を読む:第1回

2016年9月6日

メディア関係者による視点から“ビジネスエコシステムの今とこれから”を読み解くオピニオン企画。今回は日経BPイノベーションICT研究所所長の桔梗原富夫氏が、ICT業界の現状や動向を踏まえながら、ビジネスエコシステム構築に注力する日本ユニシスが今後どのような役割を担い、どのような影響を与えられるかについて考察する。

Text:桔梗原富夫

共創によりビジネスを創造する時代へ

日経BPイノベーションICT研究所
所長 桔梗原富夫氏

エコシステムという言葉を最初に耳にしたのは、1990年前後だったろうか。ハードウェアとOS、ミドルウェア、アプリケーションを垂直統合したメインフレームから、各分野の専業メーカーの製品を組み合わせるオープンシステムへ。ダイナミックな変化の中でIT業界の勢力図は変わった。大波に足をすくわれて姿を消した企業も少なくない。

今、同じような変化が様々な業種業界で起こり始めている。有名な例はUberやAirbnbだろう。デジタルの力を最大限に活用する新興企業が、既存企業を脅かしている。ここでも、エコシステムは必須の要素だ。エコシステムをうまくデザインすることで、タクシーや不動産を保有しない企業が世界の業界地図を大きく塗り替えようとしている。

こうした世の中の変化を受けて、日本ユニシスは「ビジネスエコシステム」というコンセプトを掲げた。自前でできることには限界がある。複数の企業や団体が業界の垣根を越えて連携し、共存共栄しつつ新たな価値創造に取り組もうということだろう。スムーズな連携、創造的な連携を可能にするのがICTである。ビジネスエコシステムの構築や運営において、ICTの経験や知見を持つ日本ユニシスは大きな役割を担う。

かつて、ICTベンダーの守備範囲はシステムの周辺に限定されていた。ユーザー企業の姿勢も、「ビジネスのことは自分たちでやるから、あなたたちはシステムのことだけ考えてくれ」といったものだったように思う。しかし、状況は大きく変わりつつある。ビジネスの隅々にデジタルの要素が入り込むようになり、ユーザー企業の考え方も様変わりした。

今では、ビジネスの創造や変革を一緒に考えてくれるICTベンダーが求められている。ビジネスエコシステムは、その延長上にある。ユーザー企業とICTベンダーのパートナーシップによって新しいビジネスを創造する、イノベーションを起こす。そんな時代が到来した。

ビジネスエコシステムのフロンティアは広い。近年は、ビジネス上の課題解決にとどまらず、社会課題の解決が求められるようになった。また、それを実現するための技術も生まれている。IoTやAI(人工知能)、ロボティクスなどの技術を上手に活用することで様々な可能性が広がる。

例えば、全く新しいビジネスによって、世界規模のバリューチェーンが変革されるかもしれない。あるいは、広域の行政圏や医療圏におけるリソースの有効活用、生活者にとって画期的な新サービスの創造など期待は大きい。こうした領域において、日本ユニシスには先駆的な事例がある。その経験や実績を生かしつつさらに磨きをかけて、社会に新しい価値を加えてもらいたいと願っている。

桔梗原 富夫(ききょうばら とみお)

SI会社を経て1987年、日経BP社に入社。一貫してICT分野を担当。「日経コンピュータ」「日経Windows NT」などの記者・副編集長として、主に企業情報システムの動向やICTベンダーの経営・製品戦略を取材・執筆。「日経IT21」編集長、「日経ソリューションビジネス」編集長、「日経コンピュータ」編集長を歴任し、2010年コンピュータ・ネットワーク局長、2012年執行役員、2013年1月より現職。豊富な経験と知見を生かし、ICT活用によるイノベーション創出や攻めのICT経営などをテーマに幅広く活動している。