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IoT情報化社会

IoT(Internet of Things)
新ビジネス創出の原動力として注がれる熱視線

2016年9月13日

ビジネスエコシステムを語る上で欠かせない、着目すべきキーワードをピックアップし、そのトレンドの一端を紹介する本企画。今回は、「IoT」(Internet of Things:モノのインターネット)にスポットを当て、その動向を探ってみたい。

生活や産業を根本から変える可能性も

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)とは、世の中にある様々なモノをインターネット接続することを意味する言葉。ここでいう「モノ」とは、PCやサーバ以外のあらゆるデバイスを指し、新しい産業やビジネスを生み出すものと考えられている。インターネットが普及した1990年代以降、この仕組みを社会全体に広げ、あらゆる場所でいつでも利用可能にしようとする概念が提唱されてきた。IoTは、その中の1つである「ユビキタスネットワーク」の後継とも捉えることができる。

IoTを実現するためには、それぞれを単にネットワーク接続するだけでなく、情報交換して相互に制御する必要がある。コンピューターを使う通信が専ら行われていた時代、「モノ」との連携には多くの解決すべき課題があった。しかし近年、新しい技術が課題解決の道筋を開きつつある。具体的にはセンサー技術の向上や、クラウド環境整備、情報を分析するAI(人工知能)の進歩などが挙げられる。

2020年には500億超の「モノ」がつながる

出典:NexTalk 2015年7月14日号

センサーはモノの動きや状態に関する情報を取得するのに欠かせない要素だ。現在も様々な製品(家電、自動車など)に数多くのセンサーが取り付けられている。技術進歩によって小型化、コストダウンが進んでいることから、今後も普及が進むと思われる。また、センサーの増加とともに収集する情報量も増加するため、蓄積するための巨大な器が必要になる。その容量を拡大する手段がクラウドである。大容量かつ低コストのデータ管理が可能なクラウド環境の整備は、IoTの可能性を大きく広げるものである。そして、集められた膨大なデータを詳細に分析するAIは、IoTが目指す新ビジネス創出への原動力となるものだ。

IoTは「これからの技術」として脚光を浴びている感があるが、実際は現在でも幅広く我々の生活に取り入れられ、活用されている。例えば、電力自由化で配備が進んでいるスマートメーターは本体内に通信機能を持ち、測定した電力使用量を自動で送信するIoTデバイスだ。また、スマートフォンやタブレット、ネット接続できるスマートテレビ、さらには通信機能を持った医療機器などもIoTを支える重要なデバイスである。つまり、PCやサーバなど既存のコンピューター以外でネットワーク接続が可能な機器は、すべてIoTデバイスになり得るのである。

身近なIoT機器:スマートメーター

一方、「IoTでビジネスのどこが変わるのか?」という部分について疑問を感じるという意見も聞かれる。ここで整理しておきたいのは「モノ」というものの捉え方だ。あらゆるモノをネットワーク接続したからといって、それだけでは何も変わらない。重要なのは接続によって得た情報をどう活用するかにかかっている。IoTを活用するためのシステム構築には様々な知見やコストが必要になるため、その効果は分かっていても、なかなか導入に踏み切れないというユーザーは多い。そこで各国のICT関連企業では、デバイスやネットワークを含めた統合的なサービス提供に向けた取り組みを進めている。

また、IoTの普及はそのままネットワーク接続機器の増加につながることから、これに見合ったセキュリティ対応の強化も必要になる。最近問題になったオフィス内の複合機(コピー、ファクス、スキャナー)や監視カメラを原因とした情報漏えい事件は、IoTのセキュリティを考える重要な契機になった。「PCやサーバの管理だけでも苦労しているのに、IoTで膨大な数のデバイスを抱えるようになったらどうなるのか?」と心配する声が上がるのも無理はない。IoT時代の到来に合わせたセキュリティの在り方が求められている。

このように、IoTは新しい社会を築くための切り札として期待が高まる半面、あまりにも適用範囲が広いことから漠然とした捉え方をされることも多い。政府はビッグデータの円滑な流通をIoT実現と定義している。IoTは我々の生活や、あらゆる産業を根本から変える可能性を持った取り組みといえるだろう。