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イベント地域地方創生

オープンイノベーションへのチャレンジで共に未来を創りだす
ビジネスエコシステム発展の鍵を握る「情熱を持つベンチャー企業との連携」

2017年1月17日

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2016年12月9~10日の2日間、東京・渋谷で開催されたイベント「まちてん」では、自治体や企業、大学、社会起業家などが一堂に会し、まちづくりに関わる人たち同士による地方創生に向けた協業・連携の事例、アイデアなどが紹介された。同イベントの実行委員を務める日本ユニシスのトークセッションには、チャレナジー 代表取締役CEOの清水敦史氏、ツードッグス 代表取締役CEOの宇都宮賢二氏、軒先 代表取締役/スキマハンターの西浦明子氏というホットなベンチャー企業3社を牽引する気鋭の経営者が集結。日本ユニシス 代表取締役社長の平岡昭良を交え、「ビジネスエコシステムで、未来を創りだそう」と題する討議が行われた。

新しい社会を創生していく上で
重要なのは“大義”を持つこと

日本ユニシス
代表取締役社長
平岡昭良

トークセッションの最初のテーマは「ビジネスエコシステム」である。ビジネスエコシステムを平たく定義すると、「多様な分野のプレーヤーが連携し、共に社会課題の解決を目指すもの」となる。日本ユニシスの平岡がその発端となった取り組みとして紹介したのは、2009年に開始した電気自動車向けの充電インフラビジネスだ。

単に充電スタンドを設置するのではなく、それらをすべてICTのネットワークでつなぎ、空きスタンドの検索や予約、支払いなどを行えるサービスを開発し、新たな価値を提供していった。このプラットフォームに、「業界や業態の異なる様々な企業が乗っかってきてくれたのです」と平岡は語る。

電力や自動車、電機、不動産、流通・小売り、さらには自治体など多様なプレーヤーとの連携によって展開してきたビジネスであるが、なかでもユニークな事例はJTBとの協業である。同社が発行している旅行雑誌「るるぶ」とタイアップし、「自然にやさしい電気自動車でエコドライブ!」というメッセージを発信。環境にやさしい観光を一緒になって盛り上げていこうという取り組みを開始した。これが現在では、EV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリッド車)ユーザー専用会員サービス「おでかけCard」など、より広範なビジネスに発展しているのである。

ツードッグス
代表取締役CEO
宇都宮賢二氏

ツードッグスの宇都宮氏は、こうしたビジネスエコシステムから新しい社会を創生していく上での重要なキーワードとして“大義”を掲げながら、「人の気持ちそのものをデザインすることが、今最も求められているのではないでしょうか」と語る。“大義”が成し遂げられた先の明るい社会をイメージできるようにすることで、より多くの企業や人々が、「そこに自分たちも参画したい」と思い始めるというのである。

モデレーターを務めた軒先の西浦氏は、「未来社会に対する先見性や洞察力を持ちながら、ビジョンを描く。さらにそれを実現するために多様なステークホルダーと連携し、プロトタイピングの手法も取り入れながらプロジェクトを進めていく――。今後の社会や地域が直面する課題を解決していくため、こうしたビジネスエコシステムに向けたチャレンジは、ますます重要な取り組みになっているようです」と示唆する。

ベンチャー企業と日本ユニシスの
連携が多方面で進行中

ビジネスエコシステム発展の重要な鍵を握るのは、トークセッションの2つ目のアジェンダでもある「ベンチャー企業との連携」だ。

チャレナジー
代表取締役CEO
清水敦史氏

ここでまずスポットが当てられたのが、「台風発電」という風力発電のイノベーションに挑戦しているチャレナジーの清水氏である。

導入ポテンシャルの高い再生可能エネルギーとして注目される風力発電だが、プロペラを用いた一般的な風力発電機は、強風下で暴走し事故や故障を起こすリスクがある。したがって、風況の穏やかな欧州諸国と異なり、風の向きや強さが安定せず、さらに台風や爆弾低気圧などが襲来する日本は風力発電にあまり適さないといわれてきた。

そうした中でチャレナジーが世界初の実用化を目指している「垂直軸型マグナス式風力発電機」は、プロペラではなく円筒を気流中で自転させたときに発生する「マグナス力」を利用する。この円筒の回転を制御することで発電量をコントロールすることが可能になるため、台風のような強風時でも継続的に発電することが可能になるという。

この開発プロジェクトを清水氏は5年前にたった1人から始めたのだ。「きっかけは福島の原発事故で、次の世代に向けて私たちの世代が再生可能エネルギーの道筋をしっかり示さなければならないと考えました」と語る。

2016年8月から沖縄での実証実験が始まり、日本ユニシスは発電状況を遠隔地からリアルタイムで監視できるモニタリングシステムを提供している。

平岡は、「日本ユニシスとして電気自動車の充電インフラの全国展開を進める一方、その電気のほとんどが化石燃料を燃やしてつくられていることにもどかしさを感じていました。そうした中で清水さんと出会い、完全な自然エネルギーのみで自動車を動かすことができる、かつてないエコロジーな循環社会を実現できるのではないかという構想が一気に広がりました」と、今回の連携に至った経緯を語る。

軒先
代表取締役
スキマハンター
西浦明子氏

西浦氏が創業した軒先もまた、日本ユニシスが連携を強化しているベンチャー企業の一つだ。軒先は「もったいないスペースをシェアする」をスローガンに、世の中の様々な遊休不動産(隙間スペース)に関する情報を共有することで有効利用を促し、移動販売や期間限定のポップアップストアなどの店舗を、誰もが簡単に開くことができる「軒先ビジネス」を展開している。商売を始めようとする際に立ちはだかる「場所探し」の課題を解決するわけだ。

ただ、こうしてビジネスの一歩を踏み出したとしても、すぐに周辺住民への認知や集客を図れるわけではない。そこで軒先と日本ユニシスの協業が始まったのだ。日本ユニシスが開発した移動販売情報プラットフォームサービス「HOTRICO(ホットリコ)」と連携し、軒先ビジネスが保有する多数の移動販売車やマルシェなどの情報を地域の消費者に提供するというものだ。HOTRICOは、各店舗の料理の写真、メニュー、営業時間の情報、さらには出店している場所をスマホアプリ上の地図で表示する。また、ランチタイムや帰宅前など購買需要が高まる時間帯には、近くで営業中の移動販売車の情報を消費者のスマートフォンに通知するサービスも備えている。

西浦氏は、「少子高齢化が進む中、地方はもちろん都市部においても“買い物難民”が増えつつあります。日本ユニシスと協業することで、そうした社会問題の解決にも貢献可能なシェアリングエコノミーのスタートラインに立つことができました」と語る。

昨今、オープンイノベーションという言葉をよく耳にするようになったが、裏を返せば、企業が単独でイノベーションを起こすことはもはや非常に困難な時代である。「社会環境の変化や消費者のライフスタイルの多様化により迅速に対応するためにも、複数企業の連携がますます重要になっています」と西浦氏は強調する。

さらに宇都宮氏もチャレナジーや軒先の事例を踏まえつつ、「ベンチャー企業のイノベーティブな考え方と大企業ならではの実行力が組み合わさることが、新しい価値提供への突破口となるのです」と訴える。

オープンイノベーションに向けた
意気込みと今後の展望

トークセッションの締めくくりとして、各社はそれぞれ今後に向けた展望を示した。

軒先の西浦氏は、遊休不動産のシェアリングエコノミーをさらに推進し、まちの活性化につなげていく意向。「世の中の新しい動線を設計していくといった、スペースシェアリングが社会インフラになるような活動をこれからも続けていきます」と語る。

チャレナジーの清水氏は、「2020年東京オリンピックまでに台風発電を実用化する」という目標を示すとともに、さらに“その先”を見据えて「台風やハリケーンが生み出したエネルギーを水素に変えて蓄積する技術を開発し、サスティナブル社会の実現に貢献したいと考えています」という構想を明らかにした。

ツードッグスの宇都宮氏は、日本が国際社会の中で競争力を維持し続けるために、「デジタルとアナログを融合した買い物体験の変革、医療、地方創生の3つをコアとして、企業や地方が勝ち続ける事業のブランディングに注力していきます」と語る。

そして日本ユニシスの平岡は、「とにかく情熱を持った人がいないと、オープンイノベーションを起こすことはできません。今後も多くのベンチャー企業と大義やビジョンを共有しながら、社会を大きく変革し、より良くするためにチャレンジしていきます」と、さらに協業を拡大していく意気込みを示した。

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