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マーケティング地域地方創生

地域創生のためのデジタルマーケティング講座
琉球大がグーグルやシーエー・アドバンスなど5社と連携して実施

2017年5月23日

建学の精神として「地域のための大学」を掲げる国立大学法人琉球大学は2016年度後学期から、グーグルやシーエー・アドバンスなどの企業による寄付講義「地域創生のためのデジタルマーケティング入門」を開設。2017年度前学期も継続している。その狙いは、インターネットを活用したマーケティングを知る地域志向型リーダーを育てること。並行して、社会人向けの公開講座も県内5カ所で開いている。

新しい地域社会を創造するリーダーを育成

琉球大の開学は、日本復帰前の1950年5月。当初から地域のための大学という意識を持って、地域に貢献するためのさまざまな活動に取り組んできたという。そうした背景もあって、2013年には文部科学省による補助を受けて「ちゅら島の未来を創る知の津梁(かけ橋)」を開始。2015年には「新たな地域社会を創造する『未来叶い(ミライカナイ)プロジェクト』」をスタートさせた。同プロジェクトでは、地域の問題を見つけて、それを解決できる地域志向型のリーダーを、主にITと農業、モノづくり、観光、健康の5つの産業分野で育成している。

2016年度の後学期に、ミライカナイプロジェクトの取り組みの1つとして、「地域創生のためのデジタルマーケティング入門」という全15回の講座を始めた。その特徴は、(1)琉球大の全学部・全学科・全学年を対象にしていること、(2)IT企業数社が講師・資金を出して開かれる寄付講義であること――の2点だ。2017年度前学期は、グーグルとシーエー・アドバンス、サイバーエージェント、アイウェイズコンサルティング、沖縄銀行の5社が寄付講義に参加している。

汎用性があって起業に役立つ講座を開講

国立大学法人 琉球大学
地域連携推進機構
特命准教授
小島肇氏

では、なぜ、デジタルマーケティングなのか――。その理由として、小島准教授は「裾野が広くて汎用性がある」や「今の学生はソーシャルメディアに慣れている」「起業の際に役立つ」などを挙げる。事実、2016年度後学期に履修した学生からは、「実践的な内容でよかった」「新しい気付きがあった」「地元企業への企画提案ができた」といったポジティブな評価があったとのこと。そこで、講義内容に若干の手直しを加えた上で、2017年度も継続して開講することになった。

後学期(10~3月)だけで終了した2016年度と異なり、2017年度は前学期(4~9月)に入門編、後学期に実践編という2部構成になっている。前学期の15回は、デジタルマーケティング概論6回、個人ワーク(事例研究1)2回、グループワーク(事例研究2)4回、発表3回という割り振り。小島准教授は「地域の実情を踏まえた実践的で具体的な企画提案をするために、事例研究では県内企業にヒアリングをして企画提案するところまでやる。2016年度の事例研究では、県内の大手流通グループであるリウボウに協力をお願いした」と説明する。

寄付講義「地域創生のためのデジタルマーケティング入門」(全15回)の概要
回数 内容
1 講義概論
2 講義概論、マーケティング概論
3 ターゲティング手法について
4 検索連動型広告について
5 ユーザー属性・分析について
6 ソーシャルメディアの活用について
7~8 マーケティングの事例研究①レポート作成(グルーブディスカッション、個人レポート作成)
9~12 マーケティングの事例研究②レポート作成課題(ヒアリング、グルーブディスカッション、グループレポート作成)
13~15 発表

ITの活用度も高い。講義要項にはデジタルマーケティングを学ぶためのグーグルのeラーニング「Digital Workshop」が参考URLとして掲載されているほか、グループワークを始めるまでにオンライン試験を受けて「Google AdWords認定資格」を取得しておくことを推奨。後学期の実践編では、スマートフォンなどの端末を使った実習も行う予定だ。

2017年4月14日に開かれたデジタルマーケティング入門の第1回講義では、5社の講師によるオリエンテーションが催され、集まった学生は履修登録していた。IT企業から派遣された講師陣は若手から中堅が多く、学生から親近感を持たれている様子だった。

第1回の講義風景

一方、地域連携推進の一環で、この寄付講義の縮小版となる「社会人のためのオンライン活用講座」も開かれる。「県内の社会人からの要望に応えて、デジタルマーケティング入門の前半8回の講義を無料で実施することにした」と、小島准教授。琉球大学那覇キャンパスで90分の講義を行い、その内容を宮古島や石垣島、久米島など離島も含む県内4カ所のサテライト会場にオンラインで双方向配信する。

マーケティングにインターネットがどのように活用されていて、消費者や企業にどのような影響やメリットをもたらしているかを知ってもらう――というのが「地域創生のためのデジタルマーケティング入門」と「社会人のためのオンライン活用講座」の意義だ。「講義を通して、沖縄でもITを使えば勝負できることを感じ取ってもらえればよい」と小島准教授は語る。ITを知る人材を育て増やしていくことにより、沖縄県の地方創生は成果を上げていくだろう。