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イノベーションイベント

未来の技術の“種”を発掘・育成する「TECH PLANTER 2016」
日本ユニシス賞は「フレキシブル熱電発電モジュール」に

2016年10月7日

日本ユニシスでは社会課題の解決に向けて、未来を先取りする研究やビジネスの創造に取り組んでいる。その取り組みの1つとしてリバネス主催のビジネスプランコンテスト「TECH PLANTER」に協賛し、新しいベンチャー企業やスタートアップを支援している。去る2016年9月10日、日本ユニシス本社で「TECH PLAN DEMO DAY ディープテックグランプリ」最終選考会が開催され、海外を含む12チームがそれぞれのビジネスプランを発表した。

先進的な技術にビジネスを
付与して社会実践をサポート

リバネス 代表取締役CEO
審査委員長
丸 幸弘氏

社会課題を解決するビジネス創造のためには、業界を越えた連携が不可欠になっている。日本ユニシスでは、様々な企業や団体がパートナーシップを組み、それぞれの技術や強みを生かしながら、業種・業界の垣根を越えて連携する「ビジネスエコシステム」に注力している。

その活動の一環として、リバネスが主催する「TECH PLANTER」にパートナーとして参画している。日本ユニシス本社で開催された「TECH PLAN DEMO DAY ディープテックグランプリ」の最終選考会は、ハードウェア・ロボティクス・センシング分野を盛り上げる人材・チームを発掘し、育成することを目的に開催するビジネスプランコンテスト。事業化を目指している研究者または研究開発型ベンチャー企業を対象に、先端技術を活用した製品の開発、または製品を活用したサービスに関するビジネスプランを募り、書類審査を経て最終選考会を開催する。

12チームのプレゼンから
将来の社会を感じ取る

日本ユニシス
最高技術責任者(CTO)
保科 剛

今年、4回目を迎えたディープテックグランプリには国内選抜10チームに加え、シンガポールと台湾の海外2チームが参戦し、計12チームがビジネスプランを競い合った。

最終選考会に当たり、主催者であるリバネス人材開発事業部部長の上野裕子氏が挨拶した。

「TECH PLAN DEMO DAYは、技術の種を持つ人たちのお披露目の場です。そして、育んだ種に水をやり、育て、芽吹かせ、木に育てる第一歩になります。エコシステムの形成には、熱を持った研究者はもちろん、企業の応援も必要です。TECH PLANTERの活動は世界に広がり、確かな情熱と技術で世界を変えると確信しています」

続いて、パートナー各社の審査員を紹介。日本ユニシス最高技術責任者の保科剛は次のように述べた。「ディープテックグランプリの最終選考会では、事業性のみならず、出場チームのビジネスプランの先に何が見えるのか、社会はどう変わるのかといったことをポイントに、プレゼンテーションを楽しみにしています」。そして、最終選考に残った12チームによるプレゼンテーションと質疑応答が3時間半にわたって行われ、緊張の中で審査結果を待った。

ディープテックグランプリの
最優秀賞や日本ユニシス賞は

審査結果は、パートナー各社の審査員が発表した。日本ユニシス賞は、Eサーモジェンテック(代表・岡嶋道生氏)の「未利用排熱を活用したフレキシブル熱電発電モジュール」に決定。プラント設備や発電所、清掃工場、ビル地下室のボイラー室などで発生する300℃以下の低温排熱を電力に変換できる。「この低温排熱を回収して効率的に電力に変換する熱電発電を普及させることで、省エネと持続可能な社会に貢献します」と岡嶋氏は研究開発の狙いを説明する。

同社が開発したフレキシブル熱電発電モジュールは、湾曲した熱源パイプ上に密着装着できるので熱回収の効率が良く、発電効率も高い。製造方法には成熟した半導体技術を用いることで量産性やコストダウンも可能だ。IoTで利用する無線センサーなどに給電する自立電源として実用化を目指している。

日本ユニシスの保科は「将来の社会を変えるか、近未来が見えるかどうかを基準に選考しました。日本のエネルギーミックスが課題になる中、低温排熱利用が新たなエネルギーミックスの手段に加わることも夢ではないでしょう」と日本ユニシス賞を授与した理由を説明する。

Eサーモジェンテックの岡嶋道生氏(写真左)と日本ユニシスの保科剛(写真中)

そして、ディープテックグランプリの最優秀賞は海底熱水鉱床養殖(代表・野崎達生氏)の「海底熱水サイトから有用金属を抽出・回収・養殖する」に決定した。地球深部探査船「ちきゅう」などで知られる海洋研究開発機構 海底資源研究開発センターのメンバーによってチームが構成されている。

日本近海の海底温泉を掘削したところ、熱水噴出孔上に形成されたチムニー(煙突上の鉱体)に銅・鉛・亜鉛・金・銀などの鉱物資源が含まれることが分かった。このチムニーの性質を応用し、人工的にチムニーをつくる装置を開発、設置することで高品位の鉱石を生産する。チムニーが成長することを“養殖”と表現している。日本の排他的経済水域内には20を超える海底熱水サイトがあり、「養殖した自国の金属資源を使って電気製品などをつくりたいと考えています」と野崎氏は語る。

審査委員長でリバネス代表取締役CEOの丸幸弘氏は「国家的なプロジェクトを少人数のメンバーでビジネス化に挑み、海底資源を活用して製品づくりをしたいという夢を語ってくれました。これは科学技術の発展と地球貢献を実現するリバネスの理念に合致し、世界を変える技術になると確信して最優秀賞に決めました」と語る。副賞として事業投資500万円を受け取る権利を得た。また、海底熱水鉱床養殖はヤンマー賞も併せて受賞した。

最優秀賞の海底熱水鉱床養殖と審査委員の皆さん

このほかの受賞は、以下のとおりである。

受賞者 テーマ
ユーグレナ賞 マイクロレック(台湾) 顕微鏡病理診断の自動化による遠隔医療の実現
JT(日本たばこ産業)賞
およびサントリー賞
aba 排泄検知システムLifi(リフィ)
三井化学賞 インデント・プローブ・テクノロジー 顕微インデンター:新素材の各種機械特性を迅速に評価できる測定装置
オムロン賞 マイクロエミッション 液体中の元素濃度の連続モニタリング
ロート賞 インテリジェント・サーフェス 生体親和性に優れたMPCポリマー
THK賞 フェニックスソリューション 金属の裏側からも読み取り可能なRFIDの開発、製造、大量普及
Garage Sumida賞 PDエアロスペース 民間主導のロケット開発および宇宙事業の展開

また、受賞には至らなかったものの、パイクリスタル(「薄く、柔らかく、大型化可能な半導体デバイスのプラットフォーム創出」)、Vimo(「Sleep Innovation~今までにない睡眠をあなたに~」)、シンガポールのセンサーノミックス(「流体フローを感知するバイオミメティクス超小型センサー」)がプレゼンテーションを行い、会場から大きな拍手を受けていた。

日本ユニシスの保科は「各チームはそれぞれの分野で深く研究開発しており、有意義な時間を過ごせました。これからもTECH PLANTERの活動を通じ、連携を深めていきたいと思います」と1日を振り返った。